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2009年2月22日 (日)

 アルベール・カミュ

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世界的なパンデミック騒ぎで再び注目を集めているらしいアルベール・カミュは1913に生まれ1960年に没した。交通事故死とされる最期は今も謎に包まれている。晩年には既に作家仲間からは過去の作家と見られていたらしい。僕は名高い「世に倦む日々」ブログに共感し、刺激され2月初旬に自らのブログを開設した。それは辺見庸にブログ主が言及したことに始まる。「パンデミック・滅びの予感」を辺見庸はカミュのペストを例に語り、それがNHKで放映されたのがきっかけだ。

ペストが戦争、それも第2次世界大戦の暗喩であることは良く知られている。カミュもまた、フランス知識人のひとりとして対独抵抗組織に加わり闘っていた。医師・リューはペストと戦うのは誠実さのみだと言う。何と心を打つ言葉ではないか。

カミュはアルジェリアからの引揚者。それも寡婦の子供だ。ひどく貧しい境遇の中から苦学して大学を出ている。その地名からの連想は子供心に記憶しているアルジェリア独立戦争(1954-1962)についての新聞連載記事に繋がる。

1960年当時、共同か時事から配信されていた記事のなかに独立運動組織に属していた若いアルジェリア人女性がフランス兵から性的拷問を受けたと語る。その記事の生々しい描写が今でも記憶に残っている。僕は当時12歳、その記事に、文明国のフランス人がそんなことをするのかと強烈な衝撃を受けた。

時は経て僕は22歳、かの有名な小説・異邦人(L'Etranger)をGallimard版の原書とペンギン版の英語で同時に読んだ。もちろん、初めての試みだった。殆ど独学だったが、若い時代は少し背伸びをしたほうが外国語は身に付くものだ。と今になって思う。

無論、会話力はこの方法では身に付かない。読めること書けること。それと時候の挨拶が出来ることは全く別の次元の話だ。日本人そのもののなまりが抜けないので、偉そうなことは言えないが、会話は追い込まれた状態で、聞き話すことを繰り返すことでしか身に付かない。

カミュの植民地出自の悲しみ。彼ら引揚者はフランス本土に戻ってもcolon(植民)とかle pied noir(黒足)と呼ばれ、本土の市民から蔑視され差別を受けたと言う。時代も国も関係なく、相も変らぬ偏見。差別と逆差別。小説「異邦人」全編に通低する乾いた悲しみ。

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