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2009年2月23日 (月)

 リリアン・ヘルマン

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映画 「ジュリア」1977年 アメリカ

監督 フレッド・ジンネマン

主演 ジェーン・フォンダ(リリアン・ヘルマン)
   ヴァネッサ・レッドグレイヴ(ジュリア)
   ジェイソン・ロバーズ(ダシール・ハメット)

僕はこの映画を09年2月20日にHNKBSでの視聴も入れれば都合3度観ているのだが、封切り時に都心の映画館で観たのが最初の経験だったように思う。この映画が公開された1978年当時、リリアン・ヘルマンの名前は日本では殆ど知られていなかった。

彼女の劇作が翻訳されていなかったのだから知名度が低かったのは致し方がない。また、戯曲と言う作品形態が翻訳出版にあまり適しないと言う事情もあるだろう。また、出版しても採算が合うと編集長も思いはしなかっただろう。

この映画「ジュリア」の冒頭、彼女の回想録とでも言うべき著作、「ペンティメント」プロローグの独白が、主人公とおぼしき女性の、霧に包まれた湖畔で釣り糸を垂れる場面に被さる。憎い演出だ。その年のオスカーを受賞したのもうなずける。

晩年を迎えた女性がひとり、霧の立ち込める湖で釣り糸を垂れる場面を観た瞬間、意思的で独立心の強い女性が観客の前に立ち現れる。それだけで、この映画の成功はほぼ保証されたようなものだったのではないだろうか。

物語の舞台はアメリカから始まる。富豪の娘、ジュリアとリリアンの幼き日の友情、オクスフォード大に進んだジュリアがナチス・ドイツに席巻される直前のウイーンに渡り、反ナチ闘争で命を落とすまでをスリリングに描いている。

リリアン・ヘルマンはウイーンでナチスの起こした暴動で負傷し、当局の監視下に置かれているジュリアに人伝に頼まれた抵抗運動資金を国際列車でパリから運ぶ。 その後、ジュリアには子供がおり、フランス人のパン屋夫婦に預けられていると聞かされ、養育をリリアンに託されるがジュリアの死で、子供を捜す道は絶たれる。

この映画で描れた物語の背景に戦中、戦後を共に生きたダシール・ハメットとの生活がもうひとつの物語として描きこまれている。結婚はしていなかったが、ハメットの最期をリリアン・ヘルマンが看取っている。 ハメットとヘルマンは共に1950年代の米国で吹き荒れた”赤狩り、マッカシー”に抵抗し、生き抜いた数少ない作家・知識人だ。

特にハメットは上院「非米活動委員会」に対する証言拒否が議会侮辱罪に問われて投獄されている。 それは名誉、財産、仕事、友人を失うことになる。そんなことを僕にはまず出来ない。尚、 この映画「ジュリア」回想を書く当たって改めて下記の書籍を参考にした。「友を売らない。」「信念を曲げない。」世論を味方にした権力の強要に自分は抵抗出来るか、僕には多分それは出来ない。

参考書籍 :

「眠れない時代」リリアン・ヘルマン著 小池美佐子訳 1979年サンリオ、1989年ちくま文庫 

「未完の女」リリアン・ヘルマン著 稲葉明雄、本間千枝子訳 1981年平凡社  

「ジュリア」リリアン・ヘルマン著 大石千鶴訳 1989年 早川文庫  

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