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2009年2月17日 (火)

 映画 「イル・ポスティーノ」

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チリの生んだ最も偉大な詩人、パブロ・ネルーダは1973年の軍事クーデタの最中、非道極まりないピノチェット将軍に見殺しにされ、直接的には心臓発作により世を去った。僕はネルーダの詩集を読んでいる訳ではないが、「パブロ・ネルーダ回想録」=わが生涯の告白=(1977年に三笠書房刊)の存在を敬愛する堀田善衛の著作で知り、同時代に読み終えた。その後確かイギリス語版でも読んだが、今は手元にはない。

彼は職業的外交官だったが、本業で国外に滞在しているより、政治亡命者として外国暮らしをしているほうが長いのではなかったか。長年の友人だった堀田善衛によれば、ネルーダは”大変女性に持てる大入道”だったそうである。

パブロ・ネルーダの、その殆ど非業の死と呼ぶしかない最期から20年を経て、彼が再び脚光を浴びたのは映画「イル・ポステイーノ」(1994)によってであった。僕は封切り時にはこの映画を観ていなかったが、最近、有料放送かBSで放映されるたものを妻と一緒に見ていて妻がフィリップ・ノワレ演じるネルーダを観て、この人はどんな人かと聞いて来た。71年にノーベル文学賞を貰っているのだが、一般に文学に関心のない人がネルーダを知らないのは当たり前だろう。

僕は一応、妻に略歴を説明したのだが、その際にネルーダが友人の堀田善衛に語ったネルーダの懸念について、堀田がある著作の中で書いているのを思い出した。それは北米の裏庭と言われる南米での北米の存在とアジアに於ける日本の存在をキリスト教における原罪(SIN)のように捉えていたと言うのだ。重い言葉だ、私達にはどうしようもないことなのだが。

中南米に於けるCIAの暗躍とその結果引き起こされた20年の長き渡る惨憺たる市民の被害。中国大陸と東アジアの民が被った日本による暴虐。歴史的事実を返り見ればネルーダの言う通りだとは思うが、英国、スペイン、フランス、ポルトガル、オランダの長きに渡った植民地も同様に歴史的原罪と捉えるべきであろう。

それは兎も角、この映画の脚本、主演に名前を連ねたマッシモ・トロイージは映画完成直後に病気で亡くなっている。映画製作に命を掛けた製作者でもあったのだ。泣ける名画としても評価は既に定まっている。ぜひご覧頂きたい。また、ネルーダの著作も一度手にとって欲しいと思う。抜群におもしろい。世界が広がる。

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