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2009年3月29日 (日)

 米自動車産業の破綻を預言 。 D・ハルバースタム。

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アメリカ合州国の著名な作家・ジャーナリスト、D・ハルバースタムが交通事故で不慮の死を遂げてからまもなく2年になる。2007年4月24日に彼の訃報を聞いて大変衝撃を受けた愛読者のひとりだ。

過去ブログでも書いたように「The Best and The Brightest」にはケネディ政権の失敗の本質が事実だけでこれでもかと記録されている。僕はその徹底した追及ぶりに感嘆した読者のひとりだ。それが理由で自然と次に出るハルバースタムの著作を心待ちするようになった。

彼はピュリッツァー賞受賞ジャーナリストとしてつとに有名になるが、単にその名声に惹かれて彼の著作を読んでいた訳ではない。繰り返しになるが、人は誰も好んで失敗などしたくない。失敗の本質を知りたいのは人の本能のようなものだ。読み終えるのが大変でも、失敗しないで済む秘密が書いてあるなら読み通そうと人は思うだろう。

この作家は奇妙な程、僕等私達・日本に大変好意的だった。日本人の勤勉さ・高い教育程度・規律と練度の高さ。そして日本人が新しい産業を興す為の研究・開発にお金を惜しまないことを賞賛していた。

それは反面教師として自国・アメリカへの警告でもあった。日本を対比させ自国の自動車産業の再生を願って書いたノン・フィクションがThe Reckoning ( 報復とか勘定に入れる。想像を働かせる。と言うような意味だろう。)だ。日産とフォードの興亡史として書かれ、NHKでも番組として制作された。日産とフォードの社史、それも第三者の観た遠慮会釈のない社史でもある。

この著作原書は1986年の9月に出版されている。ほぼ、四半世紀後の2009年の3月26日、合衆国大統領オバマは総崩れにある自国自動車産業の救済を発表した。その演説の中で彼は「安いガソリンを当てにしてSUVを造り続けるやり方は通用しない。日本や欧州のような競争相手がなかった1950年代のようなアメリカ優位の時代は終わった。」と言っている。

D・ハルバースタムが生きていたら現在のアメリカ経済の状態を彼はどう表現しただろう。彼の誠意溢れる自国自動車産業への警告が経営者の耳に届くことはなかった。自国マネーの暴走を見ることの無かったハルバースタムは幸せだったかも知れない。

参考著作:

「幻想の超大国」-アメリカの世紀の終わりにー  狩野秀之訳  講談社文庫 1994

「覇者の驕り」ー自動車・男たちの産業史 高橋伯夫訳 上下 新潮文庫 1990 

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