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2009年6月 7日 (日)

第1章 第八話 屋根裏部屋

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屋根裏部屋の天窓を俺は背伸びして開けてみた。部屋の窓はここだけだ。そこからつま先立ちして外を見ても、この街の屋根が青くどこまでも続いているだけで、取り立てて面白い風景が見られる訳でもない。その明り取りから見える家並みと青空を俺はしばし眺めた。

風呂はそれなりに切実な問題だが、近くにコインを入れる公衆シャワーなるものがあり、250円位の値段で入れた。また、大きな駅か空港へ行けば、多少値は張るがやはり清潔な有料シャワーが旅行者用にいつでも用意されていた。

ここは作業着姿のおばさんがどっかりと待ち受けていて代金を徴収していた。早い話、公衆便所係りのおばさんがシャワー係りも兼ねていたのだろう。俺は一週間に1回位の割合でシャワーを浴びた。

空港で仕事の待ち時間が12時間出来ることがあり、その時間を利用してシャワーを浴びたり、英語の本や雑誌を空港の売店で買い読んだりして一日中空港か駅に留まり、団体客を手配された団体バスに乗せ、その団体を送り出す。

団体が着く度にポーターのボスに運び賃を現金で渡し、予約されたホテルへとバスで送りだす。反対に団体客がホテルから空港へと送り出されくる。それを捕まえて、やはりポーターに搭乗カウンターまで団体荷物を運ばせ、ポーター頭に現金を払う。慣れてしまえば単純なものだ。

市内に留まれば、団体ホテルにクーポンを届けたり、荷物係に荷物代金を渡して歩き、時にはホテル・カウンターに次に着く団体の乗る鉄道乗車券を置いてゆくのも仕事だった。歌舞伎の黒子か忍者のような仕事だと俺は後で気が付いた。

小説 若気の至りは熟年まで続く。

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