第1章 第五話 続き、そして話は元に戻る。
小説 若気の至りは熟年まにそのまま話を続けさせるのはもちろん、この場の食後の雰囲気に相応しくないので、コーヒーを飲みながら当たりさわりのない話に自然と移って行った。
ただ、その退職官吏は初対面の日本人に反論されたのが面白くないらしく、馬鹿げたことに俺の口真似までしながら、「よく知られていることですが。」と子供じみたしぐさで復讐して来た。そんな回想はまだ、13年後のことなのだが。
さて、俺はその異国での最初の夜は団体と同じホテルで一泊させて貰ったが、狭い大通りに面した古いホテルの部屋の窓に防音が施してあるはずもなく、夜半過ぎでも外の車の音がうるさかったのを良く覚えている。
ただ、やけに白く漂白されたリネンのシーツに包まり、同じく真っ白な二重枕に頭を静めると、大げさ表現だが文明とはこんな形を取るのかと思ったものだ。そして狭いシングルベッドで眠につく際には、やはり異国を感じ孤独だった。
次の朝、事務所の場所を聞いてはいたが、たどり着くのに少々時間が掛かった。歩道脇の広告塔にはミッシェル・ポルナレフの上半身が裸、顔はサングラスで覆われ、下半身を大きなラテン風のつば広帽子で隠している宣伝ポスターがあちこちに張って有ったのを覚えている。
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