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2009年6月26日 (金)

野中広務 辛淑玉 共著 「差別と日本人」を読む

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在日として長く差別と闘って来た辛淑玉はこの共著のまえがきで差別に至る心理と構造を次のように書いている。

部落差別とは「部落」というレッテルを貼り、差別することである。差別とは、富を独り占めにしたい者が他者を排除するために使う手段である。そして、この差別は、する側になんとも言えない優越感を与える享楽でもある。

僕はアメリカ語を学ぶ過程で、今では古典的な名著に上げられる「マルコムX自伝」を知り、黒人差別の実態を告発すると言うより、一人の黒人少年の自己形成の物語として夢中になって読み終えることが出来た。マルコムは30歳と言うその早すぎる晩年には思想家としての風貌すら漂わせていた。

そうか、黒人が奴隷から解放されても長く差別に晒されるのは、自分達の富を分配したくない白人たちが黒人たちをアメリカの市民社会から排除する手段なのだと知れば得心が行く。

                       * * *

差別は、いわば暗黙の快楽なのだ。例えば、短絡した若者たちが野宿者を生きる価値のない社会の厄介者とみなし、力を合わせて残忍なやり方で襲撃する時、そこにはある種の享楽が働いているのだ。

それは相手を劣ったものとして扱うことで自分を保つための装置でもあるから、不平等な社会では差別は横行する。と辛は書く。

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西日本を中心に今なお続く「部落差別」...と続けているが、これには解説がいる。明治になり江戸に部落民が存在しないのは次のような近代史があるからだ。「江戸時代末期に蘭医・松本良順は徳川慶喜の奥医師にさせられていたが、大政奉還ぎりぎりの段階で慶喜に江戸の非人解放令を出させている」これが慶喜が行った唯一の善政だったと司馬遼太郎は彼の作品のひとつの中で書いている。多分それは「胡蝶の夢」中だったと思うが出典はさだかでない。

それにしても野中広務は戦争の惨禍に遭った東アジアとの関係修復に努力したり、現在は重度障がい者授産施設に無償で関わり続けたりと、その思想と行動には驚かされるばかりだ。自民党にも優れた政治家がいたのだ。何事もきめつけてはいけないと思い知らされた。

  

               

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