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2009年7月26日 (日)

村上春樹の「アンダーグラウンド」を読む

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村上春樹の「アンダーグラウンド」は地下鉄サリン事件の丁度2年度、1997年3月20日に発行されている。村上春樹とそのチームによる地下鉄サリン事件被害者に対する、作家自身によるインタビューをまとめたものだが、「1Q84」を読み終え、俄然「アンダーグラウンド」を再読してみたくなった。僕のようなミーハーはそうしたものだ。

「1Q84」のベスト・セラー化現象により村上春樹の、これまでに発行された関連書籍を読んで見ようと考える村上春樹ファンは多いだろう。今回、「アンダーグラウンド」を読み返し、最大の収穫だと感じたのは次のような文章に出会ったからだ。

「アンダーグラウンド」には著者自身による長い「あとがき」のような文章が7章に渡って綴られている。それは「目じるしのない悪夢」・私たちはどこに向かおうとしているのだろう?と題されて始まっている。

実に42ページもの著者自身による「解説」といっても良い文章だ。そのほとんど最後に近い(6)圧倒的な暴力が私たちの前に暴き出したもの章のそれもほとんど最後に次のような文章がある。

「ねじまき鳥クロニカル」という小説を書くために以前、1939年の「ノモンハン戦争(事件)の綿密なリサーチをしたことがあるが、資料を調べれば調べるほど、その当時の帝国陸軍の運営システムの杜撰さと愚かしさに、ほとんど言葉を失ってしまった。このような無意味な悲劇が、歴史の中でむなしく看破されてしまったのだろう。

でも、今回の地下鉄サリン事件の取材を通じて、私が経験したこのような閉鎖的、責任回避型の社会体質は実のところ当時の帝国陸軍の体質とたいして変わっていないのだ。

と。ノモンハン戦争における陸軍の無責任体質は司馬遼太郎に「この戦争のことを書いたら僕は死んでしまう。」と言わせたほど愚かな戦争だったが、その愚かさは今も完全には暴かれてはいない。

全責任のある関東軍参謀だった辻政信は全く責任を問われておらす、あろうことか、その後も帝国陸軍内で出世し、インパール作戦で帝国陸軍を実質的に壊滅させている。辻は人に自決を迫りながら自分だけは戦後も生き延びている。

村上春樹が強く指摘するのは、地下鉄サリン事件でも現場は命がけで対応したが、地下鉄、消防庁、警察庁のトップがそれに見合うだけの働きをしたとは到底思えないと言う事実だ。

我々が失敗の本質を分析し、トップを追及する体質を獲得しない限り、高給役人たちは無責任体質でおいしい生活を謳歌し続け、我々市民に悲劇を押し付け続ける。それには政府を変え、官僚を追及する良質なマスコミを選び取る眼を僕等は持たなければならない。

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