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2009年6月7日 - 2009年6月13日

2009年6月13日 (土)

第2章 第一話 粗悪な石

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小説 若気の至りは熟年まで祟る

この当時、現地で見掛ける日本人の質は玉石混交だったのだろう。何時の時代でも石のほうが圧倒的に多く、宝石に巡り合うことはまずない。俺がたまたま出合った

二人も当然のように粗悪な石だった。磨けばなんとかなるような玉では当然ない。

1960年代に自分に備わっているかどうかも分からないまま、日本を出て来ていた青年たちの成れの果てが、今俺の前にいる周作もどきと副所長だ。それなりの企業は日本から駐在員を送り込み始めていたが、余裕のない今出来の会社は、その辺でうろうろしている日本人を現地で調達した。住居費や駐在手当てなど余計な経費を掛けなくても済むし、第一、給与も現地の水準で済む。

ただ、現地で彼らが手にする利権にはオーナーも目をつぶらざるを得ない。もともと、その土地に住んでいるわけでもないので監視の目を行き届かない。

画して、粗悪な2個の石はホテルや土産物店からの小銭の上を転がりまわることになる。苔は生えないが、ささやか利権にまみれ粗悪な2個の石はますます薄汚れて行く。

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「連合」は非正規労働者の権利を守れ

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6月12日(金)付朝日新聞朝刊4面・政治欄に14日開票の千葉市長選についての記事が出ていた。その中でなるほどなと思ったのは「民主党最大の支持母体・連合が自民・公明両党が推す前副市長の林孝次郎の推薦を早々決めたと言う記事を読んだ時だった。」この市役所の組合、(自治労か?)は前副市長と既に密約があったのだろう。公務員は自分達の利益さえ守れれば主義も主張もない。彼等にあるのは野放図なまでに自分たちの欲望を肥大させる装置としての組合があるだけだ。

僕には子供時代、公務員や大企業組合について素朴な思い違いをしていて両親に冷笑された、苦い思い出がある。それは多分、メーデーの頃、春闘の場面が茶の間のテレビに映し出されていた。例により「賃上げだ、労働者の権利を守れ」と書かれたプラカードを掲げた群衆がデモを行っているお馴染みの光景だ。それはお定まりの夕食時の一家団欒の光景だ。僕はそのテレビ画面場面を観ながら、両親に向い「大人になれば、働く者はみんな組合に入り自分の賃金も守られるのだね。」と感嘆の声を上げた。

両親はその頃、ささやかな自営業者だったが、「あれは結構な身分の公務員と大企業社員の話で、自分達にはなんの関係もないのだ。」と僕の思い違いを一笑に付した。僕はその時に初めて世の中の複雑な仕組みに触れたような気がする。

だが、待って欲しい。僕の疑問は素朴な物だったが、半年前の年末、日比谷公園に集結した「反貧困ネットワーク」の面々の中に連合の高木会長の姿が有ったのではないのか。湯浅誠率いる「もやい」が日々支えている非正規労働者や家も仕事も失くした人々の状況は全く改善してもいない。あの連合代表の姿はNHKニュースに映しだされる為だけのポーズだったのか。この時代に連帯しないで、一体何時連帯するのか。

あの自分勝手なフランス人達は労働者の権利を守る一点では連帯する。ストライキの不便も我慢する。普段な不平ばかり言う人々なのに、横のつながりがいかに重要かは歴史的に知っているのだ。分断されるのが一番恐ろしいことなのだ。非正規労働者の権利を守れなければ、次に切られるのは自分たちだと彼らは認識し行動している。

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2009年6月11日 (木)

「旅する力」・深夜特急ノート  

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沢木耕太郎のエッセイ、「旅する力」・深夜特急ノートを読見終えた。言わずとしれた沢木耕太郎の名著「深夜特急」により沢木耕太郎の名前は知れ渡っているが、この「旅する力」は「旅」に出る動機、きっかけ、そして文字通り旅をするエネルギーの「溜」について書き綴った短めのノートを集めたものだ。 この本とは関係ないが、一度だけ沢木耕太郎を欧州大陸で見掛けたことがある。編集者と思しき男性と一緒に歩いて来て、街角の露地へとたちまち消え去った。あたりは既に夕暮れに包まれていた。初夏6月の夕暮れ、街は世界的なスポーツ・イベントで騒然としていた。 数多くのスポーツに纏わる何事かを書き続けて来た沢木耕太郎にいかにも似つかわしい場所で見かけたことになる。「深夜特急」の熱烈なファンは欧州に住む日本人にも多くいた。彼らの体験が少なからず沢木耕太郎のそれに似ているからだろうか。 人は26歳までに海外に出るべきだと黒田仙太郎が言っていたそうだ。それは単に黒田が26歳までに海外へ出たからという自分勝手な理由だそうだが、沢木耕太郎も26歳でロンドンへのバス旅へと香港に向かっている。それは海外で何でも食べられる実年齢が26歳だからと書いている。僕も23歳までに海外へ出ているので、それは実感出来る。 外国語も若い時に始めるに越したことない。ただ基礎が有ったほうが圧倒的に伸びが違う。そしてやむなく使う外国語は必ず身に付くものだと断言して良い。

参考書籍:

「旅する力」・深夜特急ノート  沢木耕太郎著  新潮社刊  2008

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2009年6月10日 (水)

第1章 第十話 周作もどきの悪事

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さて、周作はこの頃、一人の若い女性をどこからか内勤として雇い入れた。彼女は日本から来たばかりの様子だったが、ある日、突然,何の前ぶれもなく事務所で働き出したのだ。あくる日、彼女は目を真っ赤にして出社した。周作との間に何かあったのでは思ったが、翌日には辞めてしまい真相は闇の中となってしまった。

俺は外勤だったから1時間も彼女を目にしてはいなかった。もう一人日本女性が働いていたが、彼女は日本の有力者の娘で周作もどきは頭が上がらなかった。ただ、彼女は個人主義の人なので何も言わなかったようだ。周作は妻も子供も居る身だったが、強引な方法で女性に接近を図る女好きと言うことは後で副所長から聞いた。

この副所長は現地の女性と結婚していた。今まで付き合って来たのも白人ばかりだと言っていた。それはさておき所長の周作は以前、日本の恩人に繋がる女性と問題を起こし、それが発覚すると日本にいる恩人から話を聞いた周作の雇い主が激怒し、その雇い主の前で土下座して謝ったと言う噂を後で聞いた。周作が2度と同じ間違いを犯さないように、急遽、日本から見合い相手を呼び寄せ、結婚させたのだと言ういきさつがあったとも後で聞いた。

もし、それが本当の事なら許しがたい男だが、全て後で聞いた噂に過ぎないので、真相を確かめようもない。ただ、この男への嫌悪感は尚、強まった。

小説 若気の至りは熟年まで続く。

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北九州市で続く生活保護の受給拒否

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6月8日(月)付け「世に倦む日々」ブログ記事にに注目して頂きたい。その記事は先週末、例の北九州市でまた再び生活保護の受給を拒否された男性が孤独死したことを取り上げている。取り上げたのは、その取り上げられなさについてだ。

2007年に「おにぎりを食べたい。」と書き残して餓死した男性も生活保護の申請を拒否されていた。衝撃的だったのは申請そのものをさせないという北九州市役所の姿勢が報道されたからだ。もうひとつは、表面上豊かなこの国で起き続けている餓死と言う事実だ。「世に倦む日々」ブログが指摘しているようにマスコミは続報もしていない。

人は何が有っても生きることは保障されていなければならない。いまさら憲法条項を持ち出すまでもない。米国発の
新自由主義が蔓延しているが、それはジャングル資本主義そのものだ。弱肉強食の資本主義が横行している先進国は
今では米国を除けば日本と韓国だけだろう。両国の派遣労働者率は50%を超え、派遣切りの惨状も非常に似ている。

人権意識の問題だろうが、厚労省や市役所が主導して生活保護申請を窓口で拒否するようなことがあれば、EUでは
大問題となるだろう。問題はきちんと報道され、関わった省や市役所の担当者はNPOなどの人権団体に告発され、
裁判に発展する可能性が高い。

残念ながら、現在の日本ではそこまでの問題意識はない。民主党に政権移行しても、新自由主義の党是が変わらない限り、同じような悲劇が繰り返される恐れがある。民主党幹部がどのような発言をするのか、当面は注意を怠らにないようにしよう。

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2009年6月 8日 (月)

第1章 第九話 一瞬の幸せ

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それも慣れてしまえばどうと言うことはない仕事だった。謂わば単純作業の繰り返しだ。ただ、一日にやたら沢山の人に会い、慣れない言葉を話すのには疲れた。又、早朝に空港へ行き、深夜に駅で出迎えを行うこともまれではなかった。拘束時間がやたらと長く、3ヵ月後には血尿が出た。それでも、若かった俺は時間が出来れば、この街の景色や雰囲気を楽しんだ。6月のマロニエやニセアカシアの街路樹は旺盛に枝葉を車の行き交う石畳に樹影を投げかけた。手入れの行き届いた緑のトンネルが街路の果てるまで続いていた。早朝のタクシーの窓から眺める若緑の天蓋は息を呑むような美しさだった。束の間の休日、廃兵院近くの市内に有った空港ターミナルから左岸の河沿いの歩道を遡れば、乾き切った白茶けた土がほこりとなって靴を白くしてゆく。アレキサンダー三世橋の黄金色に輝く橋桁の豪奢さは、そんなささいな不快さを忘れさせてくれた。遠くにはサンルイ島の中洲が緑に覆われて見えた。それはあたかも、そこに見える遠くの小島に何かよいことがありそうな気分にさせた。 疲れた肉体と精神を癒してくれる束の間の幸せをその風景が与えてくれた。

小説 若気の至れは熟年までつづく。

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2009年6月 7日 (日)

第1章 第八話 屋根裏部屋

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屋根裏部屋の天窓を俺は背伸びして開けてみた。部屋の窓はここだけだ。そこからつま先立ちして外を見ても、この街の屋根が青くどこまでも続いているだけで、取り立てて面白い風景が見られる訳でもない。その明り取りから見える家並みと青空を俺はしばし眺めた。

風呂はそれなりに切実な問題だが、近くにコインを入れる公衆シャワーなるものがあり、250円位の値段で入れた。また、大きな駅か空港へ行けば、多少値は張るがやはり清潔な有料シャワーが旅行者用にいつでも用意されていた。

ここは作業着姿のおばさんがどっかりと待ち受けていて代金を徴収していた。早い話、公衆便所係りのおばさんがシャワー係りも兼ねていたのだろう。俺は一週間に1回位の割合でシャワーを浴びた。

空港で仕事の待ち時間が12時間出来ることがあり、その時間を利用してシャワーを浴びたり、英語の本や雑誌を空港の売店で買い読んだりして一日中空港か駅に留まり、団体客を手配された団体バスに乗せ、その団体を送り出す。

団体が着く度にポーターのボスに運び賃を現金で渡し、予約されたホテルへとバスで送りだす。反対に団体客がホテルから空港へと送り出されくる。それを捕まえて、やはりポーターに搭乗カウンターまで団体荷物を運ばせ、ポーター頭に現金を払う。慣れてしまえば単純なものだ。

市内に留まれば、団体ホテルにクーポンを届けたり、荷物係に荷物代金を渡して歩き、時にはホテル・カウンターに次に着く団体の乗る鉄道乗車券を置いてゆくのも仕事だった。歌舞伎の黒子か忍者のような仕事だと俺は後で気が付いた。

小説 若気の至りは熟年まで続く。

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この世でいちばん大事な「カネ」の話

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この世でいちばん大事な「カネ」の話」が朝日新聞の日曜書評で紹介されていたので早速読んで見た。
日本中どこもが貧しかった時代、反骨の地、高知で育った西原理恵子の生き方は、その漫画のように強烈だ。

高知でも最も貧しい土地のひとつで少女時代を送るが、周りの貧しさに常におびえて育つ。貧しさとは端的に「カネがないこと。」そのカネがないことで、身近な友達の未来が奪われてゆくのを眼のあたりに、自分もいずれそのような境遇に落ちるのではないかとおびえた少女時代の経験を彼女は持つ。

幸いというべきかどうかは分からないが、母親の再婚相手となった2度目の父親は、彼女を愛して大切に認めてくれる。ただ、ギャンブル狂が昂じて、母親に暴力を振るう日常の果て、彼女が美大を受験するその日に借金に追い詰められて自殺してしまう。それでも圧倒的にカネのない周りの子供達からはうらやましがられるだけの少女時代を彼女は送る。

西原理恵子を魅力的にしているのは、彼女自身がコースに乗ったエリート人生を歩んでいないからだ。
自分の頭と行動力で自分ノ人生を切り開いている。そのあたりノ事情はこの本を読んで貰えば分かることだから、ここでは触れないが、この本が出された目的は子供達に「カネ」の大切さを学んで欲しいからだ。「カネ」のおそろしさや「カネ」ヲ使う技術を学校は何も教えてくれない。

本来はクレジットカードの恐ろしさを教え、借金の管理方法を教えるのも大変大切なのだが、親も学校もそれを教えない。クレジットカードは1枚だけにすべきなのだが、そんな基本も誰も教えてはくれはしない。

この本の最終章で、母親となった西原は自分の子供に向かい「男の子の必修科目は世界放浪とアルバイトだ。」と説いている。そう、それは自分の足で歩き、自分の頭で考え、カネを稼ぎこと。働くことで他人に喜んで貰える喜びを息子に味わってもらいたいからだ。

「カネ」の大切を学ぶ貴重な教科書として少年・少女にこそ読んで貰いたい。もちろん、FXや株、パチンコに「カネ」を注ぎ込んでいる大人にも読んで貰えれば、尚良い。

参考著書:

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」西原理恵子著  理論社刊 2009

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