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2010年1月 7日 (木)

菅直人の復権

1月5日の「世に倦む日々」を読んでみた。

鳩山は首相となった途端に独裁的に権力の行使を図り、その道具立てに藤井と平野を使ったと言うのが本当のことのようだ。以下に抜粋を載せる。

「藤井裕久の財務相と平野博文の官房長官の人事は実に意外で、選挙前は誰も想像できないものだった。高齢者と無能者。この二人の人事の狙いは一目瞭然で、それは菅直人封じ込めの布陣と言うに尽きる。菅直人が思い描いて選挙前に説明していた国家戦略局というのは、まさに官房長官の権能が組織となった姿である。われわれは、新政府の政策は官房長官に就く菅直人が仕切るものだとばかり思っていたし、そうなれば、最初に国家戦略の大きな構想と計画が提示され、そこから予算編成の中身の作業に入る政策プロセスになっていただろう。ところが、鳩山由紀夫は菅直人から政策の実権を奪い取って窓際に干し上げ、政策と予算を財務官僚(藤井裕久・古川元久に丸投げするのである。鳩山内閣の実権は財務省が掌握し、政治主導を隠れ蓑にした官僚主導の性格が如実となった。この財務官僚に権力を集中させ財務省に政策を操縦させる政権運営の計略を鳩山由紀夫は以前から内々に持っていたようで、首相の座に就いた途端に君子豹変して自らの薄汚い正体を露わにした感がする。われわれも驚いたが、トロイカの二人も唖然としたに違いない。藤井裕久と平野博文を起用したことで、トロイカ体制は完全に崩壊し、チーム鳩山が単独で執権する権力体制となる。藤井裕久の起用で鳩山由紀夫と小沢一郎は疎遠となり、小沢一郎は閣外(党内)で権力を固めてゆく。必然的に二重権力体制となった」その結果

9月から10月にかけては、、藤井裕久は週末の政治番組に出ずっぱりで、鳩山新政権の政策スポークスマン同然の立場となり、実権が自分の手中にあることを嬉々として誇示していた。それが、11月頃から様子がおかしくなり、テレビ番組に出演しなくなり、代わりに野田佳彦や峰崎直樹が前面に出て説明するようになる。出たがりで目立ちたがりの藤井裕久の出番が減り、政権の内部で異変が起きていることが伝わるようになった。藤井裕久の出番が減るのと対照的に出番が増えたのは、窓際に干されていた菅直人である。藤井裕久の失権は菅直人の復権だった。12月に入り、予算折衝の場面における菅直人の影が徐々に濃くなり、財務省と他省庁の間を調整する司令塔の役割を果たす状況が歴然となった。暮れに纏めた成長戦略は完全に菅直人主導によるもので、政策全般の実権を握っていたはずの藤井裕久は何も口出しできなくなっていた。年末年始のテレビの討論番組には菅直人が出ずっぱりの状態になっている。1/5の官邸での記者会見では、菅直人が23年度予算の編成について早期着手の意向を説明するに至っていた。10月頃には考えられなかった事態である。思い返せば、新政権が発足して予算編成に入ろうとしたとき、菅直人は国家戦略相として複数年度の予算策定の提案を持ち出そうと発言したが、藤井裕久に簡単に拒否され却下される始末となっていた。権力の所在が何処にあるかが一目でわかる映像だった。簡単に言えば、小沢一郎と鳩山由紀夫の対立とチーム鳩山の無能の二つの要因が、藤井裕久の失脚と菅直人の復権を招いたのである。

藤井裕久の財務相就任は、鳩山由紀夫による三顧の礼で実現したもので、おそらくその際には、政策の全権を藤井裕久に委ねるという口約束が与えられていたはずだ。9月時点の藤井裕久は自信満々だった。ところが、藤井裕久(財務官僚)の政策独裁は長続きしないのである。新自由主義的な効率と採算の論理で社会保障や地方への補助金を削減しようとする財務官僚に対して、長妻昭や亀井静香が抵抗を示し始め、藤井裕久の政策独裁が崩れて行く。最初に長妻昭が体を張って立ち向かい、母子加算の予算化を実現した。われわれから見れば当然の決定であり、それを拒否する財務省の主張は理解不能だったが、藤井裕久は本気で母子加算を削減する腹でいて、官邸や公邸で鳩山由紀夫を交えて幾度も折衝が行われた。あの辺りから、藤井裕久と鳩山由紀夫の関係が微妙になり始める。藤井裕久にすれば、予算は自分が決めるはずで、意思決定者は自分のはずだった。それが、何度も何度も夜中に公邸に呼び出され、若い長妻昭の談判を受けて口論しなければならないのである。当然、正論は長妻昭の側にある。言い争って藤井裕久が勝てるわけがなかった。「話が違うじゃないか」と藤井裕久は嫌気がさしたに違いない。藤井裕久が週末の政治番組に顔を出す機会が消えた。そして、二次補正の歳出規模、医療報酬、子ども手当、暫定税率と、次から次に閣僚と与党に押しまくられ、財務省の主張を通せず、面倒な会議に顔を出すだけの存在になるのである。権力の中のワン・オブ・ゼムに落ち果てる。最後に、小沢一郎が官邸に乗り込んで藤井裕久を恫喝する決定的な場面となる。」だれでも知っているように小沢一郎はこの場面で藤井に引導を渡す。

年末の朝日新聞の政界面記事で、「トロイカ復活」を書いた記事があった。1/5の社説には次のようにある。「菅直人副総理兼国家戦略相が内閣としての政策調整を担い、平野博文官房長官が国会との連絡など黒衣役を担当するのが当初の設計だった。しかし、実際は平野氏が政策調整の前面に立ち、菅氏の影は薄かった。本格的に動き出したのは年末になってからだ。役割分担と連携が欠け、司令塔が不明確になっていた。人間関係は難しいが、この態勢をまず立て直すことだ。政府は18日召集予定の通常国会に、国家戦略室を局に格上げし、権限を付与する法案を提出する。各省の政治家スタッフの増員と併せ、法律整備を急ぐ必要がある。首相の決断を支える『チーム鳩山』を機能させねばならない」。管直人を毛嫌いし、菅直人の失脚を喜び、右派(藤井裕久・平野博文)の論理を代弁していた朝日新聞が、政変を見て(不本意ながら)都合のいい記事を書いている。そもそも、民意を得て政権を獲得した民主党の新政権が、財務省の目論む小泉構造改革の復活の路線で政策を遂行することが無理なのであり、選挙前は誰も名前すら知らなかった無能な平野博文に、内閣の要である官房長官のポストを任せる人事そのものが異常なのである。政権交代の内閣にあの官房長官はあり得ないではないか。平野博文も最初は勘違いしてやりたい放題だったが、ようやく自己の無能を自覚し始めたのか、最近は出番も少し控えめになってきた。平野博文に閣僚間の政策調整などできるはずがない。どんな若造が閣僚になっても、平野博文の説得など受け入れないだろう。力のある菅直人だから説得に耳を傾けられるのである。調整とは妥協の要請だ。」鳩山の子飼いである平野博文は鳩山とどんな秘密を共有しているのだろう。例えば、政治資金規正法に鳩山の資金管理団体が抵触するとすれば平野は詰め腹を切らされる役割と因果を含められている可能性がある。茶坊主かお毒見役の役割を果たさせるつもりなのだろう。

平野博文は、今後、二度と政治の表舞台に立つことはない。政権の要職に就くことはおろか、党公認をもらって議員職を続けるのがやっとの政治家になる。平野博文の官房長官人事は、絶対にやってはいけない失敗だった。だが、マスコミはその常識的な正論を一度も正面から言い上げていない。官房機密費が記者に撒かれているからである。カネを受け取っているか、飲み食いさせてもらっているからだ。そして、鳩山由紀夫と平野博文の間に何か特別な秘密があるのだ。後任人事に野田佳彦と直嶋正行の名前が挙がっている。野田佳彦だと小沢一郎が認めないだろうという観測がある。派閥の長である野田佳彦が閣僚入りできなかったのは、西松事件の際、小沢一郎の代表辞任に声を上げたからだという話があった。無役の冷や飯を食わされた野田佳彦を財務副大臣の要職に引き上げてやったのは、同じ理由で小沢一郎から睨まれていた藤井裕久である。確執を考えれば、小沢一郎は野田佳彦の財務相就任には難色を示すだろう。このところ小沢一郎は権勢示威の態度が露骨になっていて、ストレートなパワー行動を遠慮しないようになっている。野田佳彦を据えた場合、仙谷由人の事業仕分け人事の騒動と同様、必ず党内でトラブルが起きる。マスコミには名前は登場しないが、峰崎直樹の昇格の線もあるのではないか。きっと東大出の元大蔵官僚だろうと思って調べたら、何と社会党出身の横路G議員で、バリバリの自治労の活動家だった。この事実は意外だが、この人事なら小沢一郎も納得するだろうし、財務省側も顔が立って丸く収まるのではないか。

藤井裕久の辞任は、藤井-平野ラインの失脚であり、当初の「チーム鳩山」の崩壊である。明確に言えるのは、誰が財務相に就いても、政策の司令塔が菅直人の手に移行した事実に他ならない。菅直人のヘゲモニーが確立した。今後の国家戦略局も、予算も、全て菅直人が仕切ることになり、鳩山由紀夫は飾り物の存在になる。最初からそれでよかったし、それが民主党政権のあるべき姿だった。トロイカ体制こそが民主党にとって最適で最強の権力体制なのであり、その一角を崩した途端、民主党は不安定な組織になる。今後、古川元久の立場が微妙になるだろう。古川元久は、藤井裕久が内閣府に送り込んで国家戦略室長にした目付であり鳩山が菅直人を封じ込める目的で置いた用兵である。今度は古川元久が窓際に干されるか、菅直人の手足になって、逆に財務省をコントロールする役回りを演じさせられる羽目になるだろう。鳩山由紀夫には政権運営する指導力がなく、支える参謀もいなかった。バラ撒くカネだけがあり、菅直人とバランスさせる右側の重しとしての意味しかなかった。あれだけ大量のカネを撒いて子分を飼っていながら、まともな能力や資質を持った子分は一人もいなかったことになる。、真に力を持っているのは菅直人と小沢一郎であり、鳩山由紀夫は党のオーナーとしての実績と立場しかない。最後に、見落としてはいけないのは、鳩山内閣のワーカホリックという問題である。この内閣の買えるところは、土日も深夜もなく、大晦日も正月も返上して仕事に熱中することだ。高齢の藤井裕久が辞意に追い込まれた原因の一つは、この内閣の激務的性格にある。確かにそれは小田原評定の時間の浪費の面も強いが、それでも政府の最高幹部が土日も正月もなしに働く図は好感が持てる。

その点で、民主党政権は自公政権とは全く違う。国民として評価できる。

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